2015年07月07日
この物語はフィクションです
第二次大戦後70年の時を経て日本は平和になっていた。
しかしここへきて昨今周辺国の発展、没落、様々な変化があり緊張感も高まってきた。
過去の経験から戦争ほど虚しく非生産的なものは無いという思いで過ごしてきた日本人ではあるが、そうした痛い経験をしたことのない周辺国、野心の塊の政治家等70年の時間と共にそうした不逞の輩が蠢き始めている。
経済的に疲弊した日本人は所得が低下し、生活水準と将来の見通しが暗くなりつつあり、今の暮らしだけで手いっぱいになっている。
そんな状況など知らん顔の政治家たちは次々と消費税を上げ、介護費用をカット、福島で未だ甚大な被害を出している原発すらも、のど元過ぎれば熱さ忘れるといった具合に次々再稼働、新原発の建築を進めている。
更に大学へは軍事関連の研究を解禁し、他国と潜水艦の共同開発を行いと不穏な状況が水面下で着々と進められている。
憲法を改正して戦争が可能になる為の法律を作るにはハードルが高く、日本の総理はアメリカでの演説を具現化させるため、健保解釈を無理やり変えてまでも集団的自衛権法案を成立させようとしている。
更に防衛大臣は集団的自衛権が成立したら「徴兵制」を復活させようと企んでいた。
これに合わせて「軍事裁判」も復活させ、徴兵制を拒否した国民を軍事裁判で裁き、強制的に戦地へ送ることが出来るよう軍の権力強化をも企んでいた。
そしてある日、国会が延長された後、過半数を持つ与党が強引に集団的自衛権の法案を可決し、ついに70年続いた平和は終わろうとしていた。
他国へ攻撃する意思がない憲法という事で日本の周辺国を納得させていたのだが、ついにそのカギを外してしまったため、周辺国がどよめいている。
国会もメディアも国民も大混乱状態で情報が正確に伝わらない状態に陥っていた時、その混乱に乗じて早速「徴兵制法案」が提出された。
日本が集団的自衛権を使えるようになったという事で周辺国に大きな刺激を与えた結果、周辺国はその対応策として更なる軍事強化を行っていた。
周辺国が「対日本」という軍事強化を行い始めたというニュースが日本国中に駆け巡り、その結果日本も軍事力を強化しなくてはならないという悪循環がついに起こり始めた。
こうなると自衛隊員だけでは到底数は足りず、大々的な募集が始まった。
そして現自衛隊員が海外に出て行って他国の戦争に加担するのは拒否すると、自衛隊を除隊する隊員が増加し、更なる人材不足に陥っていった。
こうした自衛隊員不足の状態が国会へ伝えられ、いよいよ徴兵制法案可決に向けての議論が激しさを増していった。
そんな怒号が飛び交う国会の中で、防衛大臣が強引に徴兵制を可決させる方向へ動き出した時の事である。
怒号が飛び交っていた国会の大騒音の中に「ザッザッザッ」という足音が響き始めた。
怒号が徐々に小さくなり、その異様な足音に政治家たちは動きが止まった。
大人数の足音はするのだが、姿が見えない。
「ザッザッザッザッザッ」
足音が止まった。
すると防衛大臣の周辺に20名ほどの日本帝国軍人の軍服を着た人たちが音も無く「す〜」っと現れた。
その異様な光景に国会の政治家たちは瞬きもせず見つめていた。
す〜っと現れた帝国軍人達の姿がはっきりと見えるようになり、防衛大臣は囲まれた。
すると日本刀を持った帝国軍人が声を上げた。
「我々帝国軍人と天皇陛下のご意思を愚弄する気か!!」
国会に緊張が走った。
誰一人声を上げる事も出来ず固まったままだ。
その緊迫の様子を見つめていた会場の政治家は、更に驚愕した。
なんと先ほどは20名だけ姿が見えていたのだが、会場の通路全てが軍服を着た軍人たちで埋め尽くされていたのだ。
様々な野心を持ち、企んでいた政治家たちは完全に意気消沈し冷や汗が止まらなかった。
「天皇陛下へ敬礼!!」
そう号令が会場内へ響き渡った。
「ザッ!!!」
全ての軍人が敬礼を行った。
会場内の政治家たちは逃げる事も出来ず、声も出せず、心底震え上がった。
全員が敬礼してから数十秒ほどであろうか、一斉にその軍人たちは消えていった。
もうこの状態では徴兵制だの軍法会議復活だのといった事は恐ろしくて口に出せない状態になってしまった。
冷や汗が止まらない政治家たちは、どうしていいのかわからず茫然としていた。
そんな時、ようやく議長が声を発した。
「皆さんご覧になられたと思います。日本を守るために亡くなられた英霊たちは今だ日本を、そして日本人を守る為戦っておられます。」
「彼らの意思を尊重し、敬服し、本日の国会は閉会したいと思います。」
すると会場のあちらこちらから「賛成!」という声が上がり、国会は終了した。
この事件は国会中継のテレビでも軍人たちの姿は捉えられており、日本全国へ放送された。
こんな姿を見てしまっては、軍備増強で2分していた国内の意見もすっかり戦争放棄へ流れを戻し、他国への調整も外交ルートで話し合い路線が中心となっていった。
過去の戦争で命を落としてまでも日本を守るために戦ってくれた英霊たちは、またも日本の危機を救ってくれたのであった。
おわり
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この記事へのコメント
他国への調整も外交ルートで話し合い路線が中心・・・となっていますが、相手国が話し合いに応じなかったらどうなるんでしょうね?
実はその先もありまして、続編を書こうかどうしようか考えている所でした。
まあ一応読み切りという事で書いたので、止まっている感じですかね(^^)
また書きたいと思ったら書いてみようと思います。